感謝のすごい効果~当たり前がありがとうに、そして幸福な人生へ
私はここ数ヶ月、気持ちの面で追い詰められるような苦しい状況が続いている。家族やタイミングなど、自分の力だけでは解決できないようにみえる要素も絡んでいるので詳細は省略する。
ズバリ、困難のすべてを解決する方法が本書に書いてある。それは第3ステージの人になることである!
上から圧力をかけられて、「こんな会社いつでも辞められるのだから」と納得しようとしても、結局しがみつかなければならない現状。自分のキャリアを活かして今より優れた会社に就職できる根拠もなく、何より会社のネームバリューがとても気に入っているので、本音を言えば離職は考えていない。
でも、ふと思う。
いつからこんなに苦しい日常になってしまったのだろう、と。
数年前から変わっていないFacebookの自分のプロフィールにこう書いてある。
学び続け、日々成長できる仕事がしたいという念願が叶い、感謝の思いで働いています
就職したばかりの頃、給与も低く、福利厚生で社員に提供する炊き出しの雑用さえやっていた。どんな下っ端業務でもナンバーワンを目指し、今思うとヒエラルキーで最下層であったが歯牙にもかけず、感謝に満ちあふれていた。やがてスキルが認められ、ソースコードを書くような業務に専任するのだが、あのときの感謝に満ちあふれていた活き活きしていたマインドが思い出せない。
そこで手に取ったのが本書である。
今の業務は自分で積み上げてきた努力と幸運に満ちあふれている。
当たり前になってしまったが、だからこそ感謝を失ってはいけなかったのである。
気づき1 実践ワークをちょこっとやってみてミラクル
本書に実践ワークのやり方が載っている。具体的には寝る前に感謝を1個1行で良いので3行ほど書く。時間をかけないことがコツである。初日は、かつて就職面接してくれた上司に感謝の旨を書いたのがひとつだった。
すると、その日の夜、夢をみた。自分の鞄が盗まれてGPSで追跡する夢。夢のなかで上司が街を駆けずって探してくれているのである。
目覚めて思った。その上司は実際、自分が就職するときも目に見えないところで自分のために時間を割いてくれたこと。今の自分はそれなしでは成し得なかったこと。そのことに想いを馳せて、とても穏やかな気持ちになった。
これが感謝日記の効果か!
一朝一夕で効果が出るのは難しいと思っていたが、一撃で気づきを得るミラクルが起きた。当たり前の中に、有り難うとしかいいようのない支えがあって今があることがはっきり自覚できた。これだけでも本書を手に取った甲斐がある。
気づき2 陰口は必ず相手に伝わる。だからこそ次のステージへ
私が先輩となって教えた業務を使って、私の後輩として後塵を拝すことに対する今までの鬱憤を払うかのように業務を装って打ちのめされたことがある。私が教えてきたお客様のために貢献、チーム内での相互協力といったすべての業務の土台となる前提を一切無視した、強烈な私怨を感じた。そういうのを、恩を仇で返す、というのではないか。
アニメで描かれるようなマウントを社会人の立場で実行してしまうような方である。できるだけ客観視しても、相手がこちらをよく思っていないのは伝わってくる。
あるとき、私の助けが必要で、私を打ちのめしてから一度も話しかけてこなくなったその方が話しかけてきた。緊張で声が上擦って、無意識にため息交じりである。
気の毒であるが、やっつけた相手の助けを求めなければならない状況はやがて起こりうる事態であり、私に対し仇で返した分、後々話しかけるとき苦しむのは自業自得である。
相手に面と向かって陰口を言う機会は私には基本的にないが、何十回では効かないレベルで失敗をする方なので、そのたびに指摘しなければならない。私も未熟であったが、指摘をやめれば相手の可能性を否定することになり、失礼であると私は当時本気で考えていたので、できるだけ指摘してきた(※下記動画参照により、これは誤ったスタンスである)。
あまりにもミスが多いので疲れてしまったのも事実である。積もり積もって不満を抱いていったということは正直いってある。本書でいうところの、『第3章 間違った感謝』の章に認められている、感謝できない人の共通点7番、「完璧主義者」に私がかなり該当するのではないか。すなわち、「完璧主義者」は完璧を求めるあまり、自分の成果や他人の努力を評価することが難しくなることがある。
そのネガティブな気持ちが伝わったから相手も私を蔑ろにする態度に傾いていったのではないか。卵が先か、鶏が先か、みたいな話になってくる。本書を読む限り残念なのは私の方であるようだ。
ただ、対戦格闘ゲームでいうところの追い撃ち、相手が倒れているところにわざわざ蹴りを入れてくることはない。それを公然と実行してしまうのは社会人として稚拙であり、100%相手側の問題である。
逆襲されてまで、丁寧に指導しなければならない筋合いはない。これ以上逆恨みされては叶わない。
本書に書いてあることではなくて、これは私の持論であるが、陰口と悪口は人間の本性である。相手が特殊なのではなくて、それが大概の人間一般そういうものなのではないだろうか。
自分のために与えてくれたのは有り難いのではなくて当たり前で、それが叶わないときには仕返しをする。そこからレベルアップするためには自分が巻き添えをくらうのではなくて、その発想から脱却しなければならない。本書にあるとおり第1ステージの人からは、第2第3ステージが観測できない。それに気づくために本書がある。
第1は不安のステージ。愚癡や不平不満ばかりを言いながら、不安の中で生きているステージです。
愚痴や不平不満は、物事を自分ではなく、周囲や環境のせいにしてしまうことから生じます。
不安のステージは「他責」のステージでもあるのです。
第2は自立のステージ。すべての物事を自分の成長の糧とする考え方を持ちます。愚痴や不平不満に生きるのではなく、「すべての出来事は自分に必要だから起きている」と解釈できるようになります。
出来事と感情を分離することができるため、感情も俯瞰してコントロールできるようになります。
第3は太陽のステージ。すべての出来事に感謝できるようになり、感謝脳で生きるステージと言えます。良い悪いに関係なく、ひとつひとつの出来事に有り難さを感じているので、幸福度も上がっていきます。
自分の中に恐れからくるものがなくなり、行動のベースが愛からになるので、相手や周囲が喜ぶことを常に考え、まさに愛と感謝の中で生きている状態に変わります。
無償の愛で、周りを照らす太陽のような存在です。
本書を読んで、冒頭の書き出しにしても、自分は第1ステージのあたりをうろちょろしていることに気づく。でも、何かを得ようと記事を書いている現状は第2ステージに行こうとする努力でもある。まだ見えていない第3ステージがある、まずは目指すところから始めたいと思う。
気づき3 自分自身に必要だからこそ。逆境への感謝
お互いやりづらい中で仕事をしなければならない状況は苦しい。何とか出来ないかと思っていたのが本書を手に取った理由でもある。
また、樺沢紫苑先生はYouTubeで、親切は最大の復讐、と仰っていたのを思い出して、本書の内容とともに実践してみた。
とにかく、相手の仕事の面で最大限に親切に対応して、ミスが絶対にでないように最善を尽くし、あなたのおかげで達成できました、という感謝を述べてみたのである。
するとどうだろう。相手に「ありがとうございます」と遂に言わしめたのである。
私はこのとき、自分の中にある溜飲が下がっていくのを感じた。会社を離れれば関わらない相手に負のエネルギーを割くのは効率が悪くてナンセンスである。相手がどうあれ、自分と向き合って自分自身の能力を上げることに専念しよう、と爽やかな気持ちになれた。
相手のために感謝を尽くすことは、実は自分自身の幸福のためでもあるのである。
態度が悪い相手に対し、偽りの心で、無理矢理感謝する必要はない。でも、仕打ちで返してくる相手が反面教師として人としての振る舞いから逆説的に教えてくれて、このように発想できまいか。
『貴方が私自身の至らなさであったり課題を教えてくれたおかげで私も本気で自分に向き合うことができます。ありがとうございました!』
と、今なら言えるのである。
こういった積み重ねが、自分自身や身の回りの環境に一石を投じることになっていき、どんどん改善されることは起こりうる。可能性を感じさせた出来事であった。
本書に逆境への感謝、とあるが、先ほど述べたように、従来なかった視点で学ばさせていただき、これ以上ない貴重な機会を頂いているのである。すべては自分自身に必要だから起こっている試練なのである。
最後に 最大限の親切でお返しして感謝を尽くしていく
何より、本書を手に取った最大のきっかけが、今の自分にとっての逆境である。そして苦し紛れであってもこの読書感想をアウトプットすることができた。書き出してみて、私自身、まだまだ至らないところがあるし、未熟者であるが、逆にそれは伸びしろである。今回、一切背伸びしないで綴らせてもらった。このような貴重な機会をいただき、自ら生み出した逆境に最大限の感謝をすべきである、という最大の気づきを得た。
私は、今後誰にどんな態度で何を言われようとも忍辱の鎧をまとい、不軽菩薩の如く、礼拝するつもりで最大限の親切でお返しして感謝を尽くしていく所存である。
感謝脳
著者:樺沢紫苑, 田代政貴