30ポイントで身につく!「ロジカルシンキング」の技術 読書感想

ロジカルシンキングの技術書籍の写真

  • 「理由は3つあります!」と宣言する
  • 「なぜ?」「本当に?」と自分にツッコミを入れる
  • 「論理的な人の“クセ”を観察し、真似てみる

5万人が習得した究極の“ポータブルスキル”が手に入る!

仕事で必要なわかりやすさ・するどさ・はやさは、論理的思考のコツを「知って、真似て、繰り返す」ことで、あなたのものになる。

本記事は読書感想として一部内容を抜粋しています。

ロジカルシンキングとは?

直訳すると「論理的に考える」ということ。
論理とは「結論」「根拠」の関係性を示すこと。
「結論と根拠を明らかにして考える」ことをロジカルシンキングという。
一言で表すと、「周囲にとって、“わかりやすい”考え方」ということができる。

ねずみ、犬、象で一番重いのはどれですか?

多くの人は象と答える。
別の方が「一番重いのはねずみ」と答えたら?
そもそも、なぜねずみより象の方が重いのか?
それは、おそらく、動物で、かつ単体のねずみと犬、象を比較しているから導かれた答えである。
一方で、「一番重いのはねずみ」と答えた人は、地球に生息するねずみの総量と犬の総量、象の総量を比較して答えを導いたのかもしれない。

「結論と根拠の関係性」を思い描いていたのなら、奇想天外な答えにも根拠があり、「わかりやすい」と言える。

相手にとって納得がいくシナリオを用意するプロセス

このように、ロジカルに考えるというのは、正解かどうかを求める思考プロセスではなく、自らが描く「結論」に対して納得のいく「根拠」や「事実」を用意して、相手や周囲の人にとって納得がいく「シナリオ」を用意するプロセスである。

ロジカルシンキングを身につけることで、数ある情報から既存の延長とは異なる見方で情報を取り扱うことで、これまでにない仮説を立てられる可能性が高まる。

ポータブルなスキル

ロジカルに考える力というのは、どのような業界や職種で仕事をするとしても必ず役に立つポータブル(持ち運びが可能)なスキルである。

「分かりやすさ」というのは、相手の状況や認識している前提を知ったうえで、それに合わせたロジックを用意することで成り立つ。

自分にとって自明のことでも、相手にとって自明かどうかはわからない。
この認識を持てるか否かが、ビジネスにおいて役に立つ“ロジカルシンキング”を実現できるかどうかのターニングポイントである。

ピラミッドストラクチャーでロジックを明らかにする

  • 論点(話の主軸となるテーマ)が明確であること
  • 結論(最も言いたいこと)が論点に対応して述べられていること
  • 結論に対して根拠(言いたいことを導く理由)が複数用意されていること
  • 根拠は客観性のある事実(証拠)で裏付けされていること
  • 全体のつながりが相手の立場から分かりやすいこと

各項目において、自分にツッコミを入れる

  • 何の話?
  • で、何?
  • なぜ?
  • 他には?
  • 本当に?具体的には?

ボトムアップアプローチ

  • まず、論点を明確にする
  • 事実としての情報を集め、グルーピングする
  • グルーピングされた事実から、キーメッセージを抜き出す
  • 抽出されたキーメッセージから、結論(メインメッセージ)を導く
  • 導いた結論を論点との関係性を確認しつつ、ツッコミで検証する

論点が「自社が当該事業に参入すべきか?」と明らかになった場合、次に情報を集める。
ここでいう情報とは、結論を証明するうえで客観的な材料として必要な事実になる。
ここでのポイントは情報は全て集めるのには限界がある、という前提で収集を行う。
全体像を把握して、意味のある情報を集めることを意識した方が効果的。

情報を3つグループに整理する(3C分析
市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)


グルーピングされた情報から論点を意識して意味を抜き出す。
ここがボトムアップアプローチにおけるひとつの山場となる。

情報は情報だけでは意味を持たず、論点や仮説を意識した分析が実施されてはじめて意味が生まれる。

グルーピングして意味を抜き出したキーメッセージ(根拠)が確認できたら、それから導き出される結論(メインメッセージ)を、論点を意識して用意する。

結論はなるべく簡単に表現することが大切である。

そして、最後の仕上げとして、根拠や事実とお照らし合わせてロジックが通っているかどうかを確認する。ボトムアップで結論を描く際に注意したいこととして、なるべく複数の結論を描くようにする、ということがある。

たとえばプライベートでもネットショッピングなどで高価なものを購入する際は、必ずといっていいほど、複数の選択肢を並べてから意思決定をしているはずだ。
この慎重な意思決定は、ボトムアップアプローチの複数の結論を用意するプロセスに応用できそうだ。

トップダウンアプローチ

  • まず、論点を明確にする
  • 一般論、これまでの経験則から仮説を導く
  • 仮説を検証するために必要な枠組みを用意する
  • 用意された枠組みごとに何が検証されるべきか、逆に反証される場合はどういう場合か、を明らかにしたうえで情報を集める
  • 集められた情報で検証を行い、必要に応じて仮説を修正する

トップダウンのアプローチは「仮説」を検証するために行う。
そもそも「仮説」とは、簡単にいうと「多分そうだろう、という結論」。人によって70点ぐらいの結論という人もいれば、90点はかたい、という人もいて、度合い認識は様々である。
ただし、確実なことは、世の中の「結論」と考えられていることのほぼすべてが「仮説」であるということである。

たとえば白鳥は何色だろうか。白に決まっている。ただし、これも仮説である。
なぜなら誰も世界に生息するすべての白鳥を調べているわけではないからである。
ここで仮に一羽の黒い白鳥が発見されたとする。その途端に「白鳥は白い」という仮説は崩れることになる。
ロジックは常にこうした脆さを併せ持っている。こうした仮説を覆すインパクトを備えた事実を「ブラックスワン」と呼んでいる。

仮説は常に検証され続けることが大切である。

トップダウンのアプローチは、先述のツッコミで考えれば簡単である。
まず「何についての話か」論点を押さえて、上から「で、何?」で結論としての仮説を導く。
次に「なぜ?」のツッコミを入れていく。


ポイントは、仮説を検証するために「何と、何と、何による裏付けが必要か」を考えて、枠組みを用意する点である。
そして最後に「本当に?」と、事実や証拠を確認するツッコミを入れる。
しっかりと事実をつかんで説明していることを相手にわかってもらうためには、事実で検証したうえで相手に示すことが必要となる。

このようにすることでトップダウンの検証が成り立つ。

追加で情報が収集されると仮説が修正される場合もある。
「君子は日に三転す」という言葉があるが、仮説は集められた情報によって変わってくる。
トップダウンによる検証はあくまでこのことが大前提となる。

ロジカルシンキングで使える3つの図解ツール

ロジックツリー

マトリックス

プロセス

この3つのツールはビジネスパーソンの基本として覚えておいた方がいい。本書では、第3章にて、フレームワークで全体像を押さえることが具体例や実践例を踏まえて書かれている。上記3つのツール使用例を紹介したうえで、ゼロベースで考えてみる解決法が紹介されている。

一朝一夕で身につくスキルではないため、繰り返し読書して、思考のクセとして習慣化すべき内容となっている。ただし、これが使えるようになったビジネスパーソンは恐らく相当強い。この記事を読んで、ロジカルシンキングをボータブルな技術として身につけたいと本気でピンとくる方は、本書を入手して、繰り返し読んでみることを強く推奨したい。図解もたくさん入っているので、必携の書になるだろう。

相手に伝わる“はやさ”を磨く

伝えようとせず、伝わる工夫をする

リクルートでトップセールスに何度も輝いた渡瀬謙氏は、著書『「しゃべらない営業」の技術』(PHP研究所)の中で、無理に話をして伝えようとするよりも、伝わる事実や分析結果を用意することの重要性を述べられている。

しっかりと相手の話に耳を傾け、必要な情報を集めたら、それをもとに分析をし、データや結果をわかりやすく紙一枚にまとめ、それをお見せする。特に長々と話をする必要もない。相手は自分に必要な結論、根拠、事実を目の当たりにすると、必然的にこちらが伝えたいと思っていたことが伝わる、ということである。

ここで役立つのが先述で解説したピラミッドストラクチャーである。
伝えたいことを一番上に置き、相手の立場から、意思決定に必要な情報を根拠、事実で整理する。それを紙にまとめれば完了である。

ポイントは“こちら側”のロジックを組み立てるのではなく、“あちら側”、つまり相手のロジックを組み立てることである。

後出しじゃんけんで人を動かす

『週刊文春』でインタビューを連載し続けている阿川佐和子氏も著書『聞く力』(文春新書)で、質問を通じて、相手の方が気づいていなかったことに気づくことがある、と書かれている。

いい質問はそれだけで人を動かす力を持っている。
まずじゃんけんで、相手が何を出すのかを確認してから、それに合わせる様子に似ている。

相手の状況がわからないまま、一方的に話しても空回りするか、場合によっては相手を不快な思いにさせてしまいかねない。

本当にロジカルな人は、質問を通じて、相手の状況をうかがったうえで、その状況に合った話をしていくのである。
つまり、“伝える”と“伝わる”は違う、ということである。

いかなる状況でも「私」を主語に考えよう

ロジカルに考えるための思考の速さを上げるための手法として、相手にとってのわかりやすさは、「自分がどう考えるか」というところに帰結する。

自分が影響力を及ぼすことのできる範囲を超えてしまっているテーマに関しては、割り切ることが大切。
変えられるものと変えられないものをきちんと見極めることで、考えるスタンスが備わりやすくなる。

スポーツなどでプロと呼ばれる人たちに共通する特徴のひとつに「自責で捉える習慣」がある。
過去と他人は変えられないものの典型である。
なので彼らは「自分」を変えて、「未来」を変えようとする。
自分が変わることでしか、未来は拓けてこないことを、彼らは厳しい勝負の世界で身をもって実感しているのだろう。

ポジティヴ変換する魔法の言葉。「私はこうします!」

上司が悪い、仕事が合わない、景気が悪い、といった変えられない過去や他人を主語とするのではなく、

それで、私はこうする!」というように自分を主語にして語っていく。

これを繰り返すことが、わかりやすく、鋭く、速く考えるための最高の習慣となるからである。

最後に。読書感想

相手の前提と自分の前提が違うことは多々ある。
先日、2024年5月の話であるが高校時代の友人とグループで飲みに行った。数少ない今でもつながっている大切な仲間である。

ぼくは今更だが、英語のスキルを磨いて、会社の社長に認められるぐらいになりたい、という旨の発言をした。英語のスキルを磨いて自分の力で自分の弱さと対決するのが自分の話の軸である。

ところが友人に刺さったのは、社長に認められたい、という部分だったようだ。

会社や社長に認められたいなら、たとえばエレベーターで会ったときに、1分で自分のやりたい仕事をプレゼンできるようにした方がいい、語学スキルを磨くよりコミュニケーション力の方が重要だよ、とのこと。

相手の言うことが自分の伝えたいこととズレると、妙な違和感を感じるのものである。飲みの席だから、あまり深く追求しなかったが、相手も私に伝わっていないことを感じたのか、再三にわたって短時間におけるプレゼンの話を繰り返すのであった。

おそらく読んでいる知識の土台となる書籍などが違うし、そもそも主張したい軸が違うので、かみ合わない話なのである。

話の主軸となるテーマが違うことに気づいた

だが、僕は先にロジカルシンキングの技術を読んでいたならば、このような場面で、主張の根拠が自分と相手で違っていることを、意識しただろう。

僕は自分のスキルで出世したい、が主軸の根拠。

相手は、僕が周りに認められて出生したい、という主軸が根拠。

周りに認められたいなら、つまり、相手が存在して初めて認められることになるので、それに対応した解決策は、本書ロジカルシンキングの技術にある通り、端的に伝える、一言で伝えることに尽きる。また、それが臆することなきコミュニケーション能力の高さの証明となるだろう。

一方で、自分が自分の能力で出世したい、過去と他人は変えられないのだから、という一見自分がこうします、と言っているかのような当方の主張は、飲みの席ではあまり伝わらなかった。

ここでピラミッドストラクチャーのトップダウンアプローチ。ツッコミを入れてみる

では、自分の能力を鍛えたい、というのはなぜだろう?
まず論点として、他人に認めらえることと、自分の能力を鍛えることは軸が異なる。何の話なのかがそもそも相手と齟齬がある。まず、何の話?ということである。最初の色々混ざった伝え方が不味いのは言うまでもない。ちなみに、僕が主張をしたかった軸は、他人の存在関係なく自分の能力を鍛えることである。

次に、自分の能力を鍛えたいというのは、それはいったい何であるかだ。結論は、TOEICを受験して高得点を目指す、ことである。飲みの席であるから冗談含みのくだけた表現で伝えたが、では、何故英語の能力を鍛えるためにTOEICを受験するのだろう、あるいは何故英語?というところになる。

TOEICで高得点を取れば、英語を活用した仕事に就ける可能性も出てくるし、僕の大好きな道、勉強することそのものが仕事になるだろう。
と、考えていたが、それだけ?他には?というところの説明不足、根拠と事実の不足が見受けられる。考えが浅かったと言わざるを得ない。また、今の段階で人に伝えてもしょうがない志や思念が根拠だったりする。

ロジカルシンキングの技術で意思疎通のスピードを磨く

友人は、ぼくの語る、英語を鍛えて出世という安直な発想が、単に気にくわなかったとか、嫌がらせの意図は一切ないだろう。それは、「そんないばらの回り道しないで、まずは今ココでボクらに伝えてよ」、と親切心で言いたかったのではないだろうか。

飲みの席でそこまで頭の回るヤツなんていなさそうだが、恐らくロジカルシンキングの技術は一朝一夕とはいかずとも、このように一つ一つ仮説を立てて、根拠を並べて、実際のところどうなのか、思考するクセを何度も繰り返すことで鍛えられる。

で一言でいえば?と聞かれると、困ってしまうが、少なくとも、相手の前提と自分の前提を正しく理解すれば、意思疎通のスピードは格段に上がりそうな気配であることは確かだ。

ちなみに何故英語を鍛えることを決意したのかは、後日別の機会に記事にしたい。

HRインスティテュート (著), 野口 吉昭 (監修)

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