本ブログを立ち上げたきっかけ、それは樺沢紫苑先生のアウトプット大全を読んだからである。ただ、アウトプットをするのにアウトプット大全の感想というのは反則技な気がして、記事にはしていない。
かなり後悔しているのは、当時読んだときの気づきというのはアウトプットしておかなければ忘れてしまうのと、今の気づきとは違うということがある。当時と今を比較するにはやはり今後はアウトプットしていくしかないだろう。
そんなアウトプット大全を原作とした漫画本のリリースということで、本付きの出版記念講演会に申し込みした。今度こそはという思いで以下『もしも社畜ゾンビがアウトプット大全を読んだら』の読書感想をアウトプットしていきたい。
本書は80のノウハウがすべて原作アウトプット大全にリンクしている画期的な漫画である。そして漫画のストーリーになっているだけあって再現性がある。
- 最近疲れやすい
- 顔色が悪い
- 異臭を指摘された
- 動きが遅くなった
- まったく眠くない
- 思考力が衰えた気がする
- 食事が進まず味がしない
- 議論に熱中できない
- 本来は仕事熱心だが能率が上がらない
- 自分の人生がつまらなく感じる
表紙を開くとまずこの記載がある。最近の私は部下ができて、色々とやることが変わり、まさにお疲れモードなのでかなりの項目が当てはまる。
社畜ゾンビ状態は疲れているときの自分そのものであり、全く人ごとではないということに気づいた。そして本書の真髄はその原因はすべてアウトプット不足ということに尽きる。
疲れ(ゾンビ状態)の原因がアウトプット不足、というのはなかなか紐付かない気がするが、私は本書を二度読み返してハッとした。そんなわけないじゃんとどこかで思っていたらこの解法に紐付かない。これが一点目の気づきであった。
やる気がしないとき、ゾンビ化しているときは5分だけやってみる癖をつけたい。これは作業興奮といわれ、心理学用語で行動活性化につながる方法である。
思えば、やる気がでなくて10分15分と時間だけが過ぎていき、結局疲れてきて何もしないことがある。そんなのはお疲れモードではしょっちゅうである。
5分やって眠くなったりダメだったときは、本当に疲れているのでやめてもいいと思うが、とりあえず5分というのはなかなか実践できていないテクニックである。
そして、アウトプットすると必ず何かが変わる。変化を取り入れてフィードバックして、次のアウトプット前提のインプットにつなげて成長の螺旋階段を昇っていくのだ。その鍵が5分だけやってみること。漫画でもワードを書き殴ることから入っているが、それこそが行動活性化であり、アウトプットのコツであると思う。
本書には「社畜ゾンビとはややどぎつい表現」とあるが、いわゆる世間一般で社畜とはどういう状態なのか、脳疲労・うつ病手前の未病状態、ということをゾンビ状態ということで分かりやすく譬喩している。その正体は前述の通りアウトプット不足である。何をしても空転、顔色が悪くて風呂に入らない、というのはうつ病患者の特徴でもある。
うつ病は統計では日本に100万人いて、その予備軍の脳疲労状態の人は10倍いる、と樺沢紫苑先生は指摘している。つまり1,000万人がデフォルメすると社畜ゾンビ、ということになる。
社畜というのは最近よく聞かれるスラングではあるが、会社の家畜というような意味と捉えられる。それは奴隷のようなやれされ感、自分のコントロール感がない状態であり、ストレスを抱えて無気力になっている状態である。
アウトプットすれば、指示された仕事のなかでも、工夫する余地が生まれ、同じ内容でも効率化できてくる。また姿勢が変わるので、周りの人たちに影響を与えるだろう。自分が変わると周りも影響されて変わっていく、これがアウトプットの醍醐味ではないだろうか。
仕事が辛い、大変だ、でも同じ8時間拘束されるなかで、その8時間をどのように使うか。
アウトプットしていかないと自分の力ではどうにもならない、すなわち無力感にさいなまれることになる。しかし、それがアウトプットで変わっていくのだ。
また仕事ができない状態というのは周りに負担をかけているので、当然人間関係が悪くなるきっかけになる。職場の悩みの8割は人間関係というが、周りだけが悪いとは限らない。たとえば、報告連絡相談という場面でしっかりアウトプット力を磨いて対応すれば、通常は悪いことにはならないだろう。
脳のワーキングメモリーは3つを超えるとパンクする。アウトプットをしていくと自分が第三の視点で見えてくる。アイデアを棚卸しして空いたところに新しいアイデアが生まれる。
このブログで書いて何が変わったか、アウトプットしてみて何が変わろうとしているのか、公開してみるまで外部からのフィードバックは得られないが、実際書いている途中ではっきり気がついたことがある。本書のキーパーソン、清掃員の七さんみたいな人がいればいいな、と漠然と思っていたが、私にも最近部下ができたので、客観的にみて気がついた。
部下に対してしっかりアウトプットを促している自分がいる!
俺ってすげえじゃん!七さんみたい!
今まで自分の上司になってくれて育ててくれた人達の良いとこ取りをしつつ、アウトプット大全のエッセンスを取り入れて、部下達のアイデアを促す工夫を自然とやっていた。実際、部下に自分で考えさせる幅を持たせると、想定を超えるアウトプットが返ってくる。これは自分の指示出しが的確だという証左でもある。そして必ずフィードバックを返して次の業務につなげていく。いつの間にかアウトプット大全が身についていた、という気づきが感想を書いていて得られた。
私は最近お疲れモードで、自分のことだけ振り返るとまさに社畜ゾンビ的な状態に陥っていたが、自分って結構すごくね?七さんみたいじゃんと思えたことで自己肯定感アップにつながる。色々会社のために頑張って俺って最高じゃん!と思えたので、本稿はとても有意義な読書感想となった。
漫画部分の感想であるが、風景画が綺麗で、朝散歩のシーンはホッとする。ストーリーも映画大好きな樺沢紫苑先生らしい、秘密が隠されていて、ハートフルな物語である。ちょっとした映画を見ている気分になった。
また、インプット:アウトプット比=3:7という黄金比は原作アウトプット大全ではあくまで時間比率であったが、本漫画の独自の進化として、【インプット:アウトプット比=3:7】というのは【自分のため:他人のため=3:7】という新しい視点でアップデートされている。堅苦しい他者貢献は難しくても、自分と自分以外の外の世界へのアプローチを3:7にする、ということなら実践できそうである。
余談だが、本書の漫画家齋藤邦雄先生のお姿を拝見して俳優さんかと思った。髭も整えられていて端正な顔立ちである。
漫画部分のネタバレはいっさいしていないが、漫画といって侮ることなかれ。私ですらこれだけの読書感想が書けるのだから、得られるものは大きいと思う。書店で見かけたら是非手に取って読んでみて欲しい。新しい自分の発見のためにご活用あれ!
もしも社畜ゾンビが『アウトプット大全』を読んだら
樺沢紫苑 (著), 齋藤邦雄 (イラスト)