かねてから噂のあったWindowsの次期OSとなるMicrosoft Windows 11が米国時間の2021年6月24日に発表された。
Windows 10のリリースで最後のバージョンのOSとMicrosoftはかつて発表していたが、Windows 10は2015年リリースのOSだ。色々と古い機構が目立つようになり、レガシー脱却を目指すために、新しいOSをリリースする事になったと思われる。何が最後のOSだよ!とつっこみたくなるが、Windows 10からアップグレードする際に新規でOSを購入する必要はない。Windows 10の正規ライセンスからアップグレードできる。費用がかからないという点について、Windows 10で最後の出費だった、ということはいえる。Windows 7以前など昔のように新OSが出るたびに有料でアップグレードする必要がない。まさに最後の出費からWindowsを使い倒せるという意味ではMicrosoft太っ腹!といえるのではないだろうか。
Windows 11 のリリースは、2021年後半を予定している。それまでにWindows 11の動作条件を満たしているかを確認しよう。
ハードウエア要件/仕様の最小要件
ハードウェア | 最小要件 |
---|---|
プロセッサ: | 1 ギガヘルツ (GHz) 以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC) |
RAM: | 4 ギガバイト (GB) |
ストレージ: | 64 GB 以上の記憶装置 |
システム ファームウェア: | UEFI、セキュア ブート対応 |
TPM: | トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0 |
グラフィックス カード: | DirectX 12 以上 (WDDM 2.0 ドライバー) に対応 |
ディスプレイ: | 対角サイズ 9 インチ以上で 8 ビット カラーの高解像度 (720p) ディスプレイ |
CPU
PCのマシンスペック的には、CPUについてプロセッサーナンバーを見る限り、正式にはIntel第8世代開発コードネームCoffee Lake以降の対応で、それより前のCPUがバッサリ切られている。現時点(2021年6月26日)では2017年以前のIntel CPUが対応していない。AMDのCPUに至っては2018年以前のCPUについては対応していない様である。
メモリ
次にメモリについてであるが、CPUほど厳しくない。メーカー製マシンのCPUの方が対応しているなら、4GBのメモリは確実に積んでいるはずである。まれに4GB未満は5年以上前の最安廉価モデルとなるノートPCではあり得るが、それはそろそろ買い換えを検討した方がいいだろう。
ストレージ(SSDおよびHDD)
ストレージについて。普通のHDDであれば、現時点(2021年)で手に入るものは最低500GBなので、心配する必要はない。SSDについても64GBといえば10年以上前のメインストリームなので、こちらも心配は要らない。
UEFIセキュアブート
システムファームウェアについて。UEFI、セキュアブート対応とある。この辺から条件がガチガチに厳しくなる。ノートPCの事情は知らないので責任を持った事はいえない。自作PCについては、Intel第8世代CPU対応のマザーボードならば、BIOSがUEFIセキュアブート対応していないということがない。問題はWindows OSをインストールしているシステムストレージのフォーマットである。HDDやSSDのフォーマットにはMBRとGPTがあるが、2TB以下のストレージを使っている場合、従来は特段GPTにする必要がなかったので、MBRのまま使っている場合がある。筆者は経緯は不明だが、MBRのままだった。無論、Windows 11は起動できないということになる。3年以上前のWindows 10の新規インストールを最後に256GB SATA SSDをクローンコピーで新SSDに換装してきたため、このようなことが起こりうる。
TPM 2.0
TPM対応について。これは自作PCでマザーボードを買うときに気にしていた人はあまりいないだろう。暗号化技術に関する項目なので、ビジネスで利用するものでないかぎり、プライベート使用でわざわざシステムドライブを暗号化して使っている人はいなさそうである。チップセットZ490のASUS製マザーボードの工場出荷状態では無効になっていた。システム以外のBitLockerもTPMを気にしなくても普通に使えるため、筆者は意識した事がなかった。無論、UEFI BIOSで無効になっていたため、そのままではWindows 11は使えない。
その他グラフィック、ディスプレイ、インターネット接続については上記要件を満たしていれば問題ないはずなので割愛する。
自分のPCがWindows 11動作条件を満たしているか確認する方法
以下リンクからシステム要件を満たしているかチェックできるアプリをダウンロードしよう。
諦めるのはまだ早い!ハードウェアの要件を満たしている場合にチェックすること
スペック的に対応しているPCならば、前述のUEFIセキュアブートとTPMを有効にすることができれば、Windows 11を実行できる可能性はある。逆にこのふたつを有効にできない場合、どんなにスペックが高かろうがNGである。
● UEFIセキュアブートしているか?
● システムがMBRになっていないか?
● TPMをONにしているか?
マザーボードのBIOSでは通常はUEFIは有効になっているが、WindowsのシステムをMBRフォーマットのストレージにインストールしている場合、チェックアプリからは弾かれる。
MBRかGPTかを確認する方法は以下。
もし、マスターブートレコード(MBR)の場合、チェックアプリでWindows 11が実行できない、となる。その場合、手間だがシステムドライブをMBRからGPTに変換する必要がある。GPTに変換さえすれば、晴れてWindows 11が実行可能な環境となる。確実に変換する方法としては、ディスクをクローンコピーする。HDD乃至SSDがもう一台と、変換に使用するソフトウェアが必要となる。何らかのきっかけでシステムドライブを換装する際に、ついでにMBRからGPTに変換するのを忘れないようにしよう。
Windows 10で現在TPMが有効かどうか、アプリで確認しよう。Windowsの検索から『tpm.msc』と入力し、表示されたアプリを開こう。
上記アプリでTPMが見つからない場合、UEFIでTPMが無効になっていると考えられる。これはUEFIでTPMを有効にすればいいだけなので、難儀ではないはずだ。
UEFI BIOSの設定を変えると、最悪、OSが起動しなくなる。リスクを最小限に控えるには、同時に色々設定するのではなく、ひとつずつ確認して設定しよう。TPMの場合、一箇所をEnableにすればいいだけだ。
筆者の環境がASUS製マザーボードのため、他社製の場合は大きく異なる可能性があるので、以下は参考例としてとどめてほしい。
ASUS製UEFI BIOSではPCH-FW Configuration内の、PTTをEnableにすれば、TPMの有効化は完了である。
念のためTPMが有効になったかどうか、アプリで確認しよう。
Windows 11実行要件を満たしているスペックのPCで起動ディスクをGPTフォーマットにし、TPMが有効になったので、再びチェックアプリで確認してみた。
デスクトップにショートカットを作成していない場合、Windows検索バーからPC 正常性チェックで開く。
スペックを満たしたCPUとチップセットを使っているのに、PC正常性アプリで非対応の場合、UEFIのTPMが有効になっているか、落とし穴として起動ディスクがMBRになっていないか、この2点は絶対確認しよう。
おまけ MBRの起動ディスクをGPTに変換する方法
筆者のNVMe SSDはMBRだったため、GPTに変換して対応した。
Windows 10でシステムのMBRをGPTに変換する機能があるようだが、万が一失敗した場合、起動できなくなる。それよりはリスクを最小限に抑えるためにも、換装できるクローンディスクは用意した方が良い。今回はCドライブの2TB ADATA製M.2 NVMe SSDをMBRからGPTに変換する際、一旦システムをWD製4TBのHDDにクローンしている。
コピー終了後の作業は、事前にHD革命で作成していたDVD-R(DVD-RW、BD-R、USBメモリなどで代替可能)のWindows PEからPCを起動して、コピー先のHDDからNVMe SSDにもう一度同じ手順でクローンコピーするだけ。いたって簡単である。ただし、クローン先クローン元のディスク選択ミスとかはあり得るので、自信がない人は関係のないHDDは外しておくことをお勧めする。今回筆者のシステムドライブはM.2のSSDだったため、いちいち取り外したりはしていない。だが、関係のないHDDは外すのが王道である。
万が一起動できなくなった場合、BIOSでUEFIモードに設定しているか確認しよう。
以上、Windows 11実行可能にするためのTPM有効化、UEFIセキュアブート対応、MBRからのGPT変換の方法でした。